読書

新世界より (上)

新世界より (上)

新世界より (下)

新世界より (下)

(最後の一行。ただし略)

 以前から、非常によく噂を聞く本でした。
 その一方で、「ま、いいかなー」と思ってました。ほんとは。正直なところ。
 ホラーとかの人なんでしょ? っていう印象と、なんかみんなもてはやしてるしねぇ、みたいなひねくれた感情。
 でも、上巻を半分も読む頃にはすっかりそんな考えも消え失せて、
 平身低頭。
 なんともはや。
 いいものを、いいという。
 それには相応の理由があるのだと、思い知った所存です。

 いかようにも読める本だ、と思います。
 私はずっと、なんて甘い話なんだ! とわななきながら読みました。
 すでに性をこえた、愛情の甘さは、美しくて濁っていて。
 でも、最後の一行を読んで、そういうことなのだ、と思いました。

 そういうことなのでしょう。
 物語も、世界も、私達も。

 素晴らしい読書体験でした。